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2015年11月号(2)
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 石井 裕之

さらに変動する年金受給額

被用者年金の一元化

 平成27年10月、国家公務員・地方公務員・私学教職員の3つの共済組合が厚生年金に統合され、被用者(雇われている人)の年金制度はすべて厚生年金になりました。平成24年の法改正で、年金制度の安定性向上や公平性確保を目的に、この一元化が決められていたものです。

年金払い退職給付の新設

 従来、以下の図1のとおり、共済年金には独自の「職域部分」がありました。公的年金のうち、国民年金を1階部分、厚生年金を2階部分とするなら、3階にあたる部分です。しかし、統合されたことで、この職域部分は廃止となりました。

<図1>

日本の年金制度の全体像

「今からはじめるリタイアメントプランニング」より抜粋

 「職域部分」の代わりに創設されたのが「年金払い退職給付」。「職域部分」はすべて終身年金でしたが、こちらは終身年金部分と有期年金部分(支給期間10年・20年、または一時金受取を選択)とが半分ずつになっています。イメージはこのようなものです。

年金払い退職給付の新設

 ただし平成27年9月以前に職域部分の年金をもらっている人や、加入期間があってこれからもらう人に対しては、施行日(平成27年10月1日)以降も職域部分から支給されます。

 なお、仮に年金受取中に受給者が死亡した場合、終身年金部分は終了し、有期年金部分は残りが一時金で遺族に支給されます。

キャッシュバランス方式

 今までの公的年金はすべて賦課方式(現在の現役世代が納める年金保険料で、現在の受給者の年金給付を賄う方式)でしたが、「年金払い退職給付」は積立方式(将来の年金給付に必要な原資をあらかじめ年金保険料で積み立てる方式)で運営されます。

 そして受給額については、企業年金を参考に、「キャッシュバランス」という方式が採用されました。これは積立金運用対象の中核となる国債の利回りなどによって、毎年の給付水準が変わる方式です。国債の利回りは変動しますから、受け取る年金額も前年と比べて増減することになります。つまり必要とされる年金原資に対して積立金が不足する事態を防止できる特徴があります。物価や賃金が変動することによる調整機能は従来からありましたが、運用結果で変動する仕組みの導入は、公的年金としては初めてです。

年金受給額は運用実績連動に

 企業年金や個人年金には、運用結果で年金額が変動する仕組みは以前から存在しています(キャッシュバランス方式、変額年金、確定拠出年金など)。「年金払い退職給付」の登場により、公的年金、企業年金、個人年金とも、運用収益による変動の仕組みが設けられたことになります。これらすべての年金制度とも国債利回りや株式・債権などの運用環境次第で年金受取額が変わることになりますので、今回の統合により、生活者一人ひとりが経済情勢に対する一層の興味と注目を向けるきっかけになり、老後の生活設計における貯蓄や投資等への後押しとなるかもしれません。

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