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2015年9月号(1)
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 塚野 玲子

子育て費用を補助する制度

求められる経済的支援

 平成21年度の内閣府調査によると、「将来的にご自分が子どもを(さらに)持つと考えた時に、どんな不安がありますか?」との問いに対し、際立って高かった回答が「経済的負担の増加」(8割弱)でした(内閣府 インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査 平成21年度)。

 経済的な負担の増加を少しでも和らげ、経済的な不安からお子様を持つことをあきらめないように、国や市区町村などが様々な経済的な支援策を設けています。以下に主な経済的支援をまとめてみました。

どのような経済的支援が受けられるのか

 お子さんの年齢ごとにどのような支援が受けられ、どこで手続きをすれば良いかについて、下図左上Aから順にみてみましょう。

 なお、J、K、Lは、母親が会社員(社会保険の被保険者)の場合に受けられる支援です。子育て費用の補助というより、収入の減少を補う意味合いの制度になります。

どのような経済的支援が受けられるのか

【妊娠】
A.妊婦健康診査(市区町村)

 妊娠中は、妊婦健康診査を定期的に受診し健康管理を行うかと思います。基本的な妊婦健診にともなう自費の検査費用については、公的な補助制度があります。
 標準的な例としては、14回分の受診券か補助券が、お住まいの市区町村で母子健康手帳をもらう時に一緒に支給されます。

 妊娠がわかったら、お住いの市町村へ「妊娠届」を提出しましょう。
 なお、補助が受けられる検査項目や金額などについては、各市区町村によって異なるため、詳細は市区町村のホームページなどで確認しておくと安心かと思います。

【出産】
B.出産育児一時金(健保・国保)

 健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、一定の金額が支給される制度です(平成27年度支給額42万円)。

 出産時に費用の立替払いをしなくてもよいように、以下の2つの方法があります。どちらの方法が利用できるかは分娩施設によりますので、利用予定施設でご確認ください。

直接支払制度:

本人家族に代わって、分娩施設等が直接出産育児一時金の請求と受け取りを行う

受取代理制度:

本人家族が健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行う際、出産する医療機関等に受け取りを委任する

産科医療補償制度掛金1.6万円含む。(産科医療補償制度とは、お産をしたときになんらかの理由で重度脳性麻痺となった赤ちゃんとそのご家族のことを考えた補償制度です。分娩施設の全国加入率は99.9% 2015年8月3日現在)

健保の制度は、加入健保によって独自の付加給付がプラスされる場合があります。

【乳幼児~中学生】
C.児童手当(市区町村)

 出生後から中学を卒業するまでの間、市区町村より支給される手当です。支給額は、以下の表の通りです(総額:第1子、第2子は198万円、第3子以降は252万円)。なお、手当を受け取る人の扶養親族等の数に応じて所得制限限度額が設定されていますので、事前に市区町村で確認してください。

支給対象年齢 支給額(ひと月あたり)
0~3歳未満 15,000円
3歳~小学生 10,000円(第1子・第2子)
15,000円(第3子以降)
中学生 10,000円

所得制限以上:ひと月5千円(特例給付)
所得制限一例:夫婦・児童2人の場合年収960万円未満

 児童手当を受け取るためには、お住まいの市区町村で申請手続きを行う必要があります。申請した月の翌月分からの支給となり、申請が遅れると原則として遅れた月分の手当を受け取れなくなりますので、出生届と同時に手続きをしましょう。次年度からは毎年6月に児童手当現況届の用紙が郵送されますので、ご記入の上期日までに返送してください。

*子育て世代臨時特例給付金:消費税率引上げの影響等を踏まえ、子育て世帯に対する臨時特例的な給付措置として、平成27年6月分の児童手当対象の児童1人につき3,000円が支給されます。所得制限を超えた世帯は対象外となります。申請受付期間や申請方法は、各市区町村によって異なりますので、お住いの市区町村にご確認ください。

【乳幼児~小・中学生】
D.乳幼児医療費助成制度(市区町村) 及び E.子ども医療費助成制度(市区町村)

 お子さんが病気や怪我などにより受診した場合の医療費を、都道府県と市区町村で助成する制度です。

 助成対象となる年齢や窓口における自己負担金額、所得制限の有無などは、市区町村によって異なります(市区町村における実施状況⇒こちら 厚生労働省HP「平成26年度乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」)。

 こちらも出生届と同時に、市区町村で手続きをしましょう。手続後、乳幼児(子ども)医療証が届きます。この医療証を医療機関の窓口に提示することで助成を受けることができます。

【乳幼児】
F.認可外保育施設入所補助金(市区町村)

 認可保育所は、公的な資金補助があるため保育料は比較的安くなっています。認可外保育施設を利用する場合の保育料格差を少なくするために、所得やお子さんの人数などによって定められた補助金が支給されます。金額や要件は市区町村によって異なり、市区町村のホームページなどで確認できます。

 手続きは保育施設から配布される申請書類に必要事項を記入し、保育施設または市区町村に提出します。

【幼児】
G.私立幼稚園就園補助金(市区町村)

 私立幼稚園の入園時にかかる費用負担を軽減する制度です。所得やお子さんの人数などによって定められた補助金が支給されます。金額や要件、対象施設などは市区町村によって異なり、市区町村のホームページなどで確認できます。

 この制度を利用する場合には、幼稚園を通じて申込み、幼稚園を通じて補助金が交付されます。

【高校生】
H.高等学校等就学支援金(国)

 下記所得基準未満の場合には、国公私立問わず高校等の授業料の支援として「就学支援金」が支給されます。

公立 支給限度月額
全日制 9,900円
定時制 2,700円
通信制 520円
私立 市町村税 所得割額 支給限度月額
全日制  0円(非課税)(年収250万円未満程度) 24,750円
~51,300円未満 (年収250~350万円程度) 19,800円
~154,500円未満 (年収350~590万円程度) 14,850円
定時制 9,900円
通信制 9,900円

(表は平成26年4月以降入学者の内容)
所得制限以上:支給なし
所得制限:市区町村民税の所得割額が30万4,200円以上(年収910万円程度)の世帯

 子の支援金を受け取るには、学校を通じて申込み、課税証明書(市区町村の窓口で発行)等の書類を提出することが必要です。支援金は学校設置者(都道府県や学校法人など)が、生徒本人に代わって受け取り、授業料に充てることになります。

 学校の授業料と就学支援金の差額については、生徒本人(保護者)が支払う必要があります。

【高校生・大学生など】
I.扶養控除(所得税・住民税 税務署)

 納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。

 「控除対象扶養親族」とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいい、特に、19歳以上23歳未満の人を特定扶養親族といいます。

 以下の金額を所得より控除して、税金の金額をすることができます。

区分 所得税の計算に係る控除額 住民税の計算に係る控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円 33万円
特定扶養親族 63万円 45万円

 会社員公務員の方は年末調整時、個人事業主の方は確定申告時に扶養控除を申請してください。
 なお、扶養控除は、70歳以上の扶養親族がいる場合でも控除が受けられます。

【産前・産後休業中】
J.出産手当金(健保)

 健保の被保険者が産前産後休業で会社を休み、給与の支払いがなかった期間を対象として支給されます。出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日から、出産日の翌日以降56日までの範囲内で1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額が支給されます。

 手続きは加入健保または勤務先の担当窓口に申請します。
 ※健保の制度は、加入健保によって独自の付加給付がプラスされる場合があります。

【産後休業後】←父親が育児休業を取る場合は産後8週間以内(産後休業期間中)も可。
K.育児休業給付金(雇用保険)

 雇用保険の被保険者が育児休業を取得した期間を対象として支給されます。支給期間は、基本的にお子さんが1歳になるまでですが、一定の要件に該当する場合は1歳2カ月(パパ・ママ育休プラス制度該当:父母ともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長)、または1歳6カ月(保育所申込を行ったが入所できなかった場合など)になるまで支給が受けられることもあります。
 (ハローワークHP

 支給額は1カ月当たり、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数の67%※(育児休業の開始から6か月経過後は50%)」相当額で支給額には所定の上限があります。
 ※平成26年4月1日以降に育児休業を開始した場合

 手続きは勤務先事業主が、育児休業開始日の翌日から10日以内に、所轄のハローワークに必要書類を提出して行います。この手続き後も、事業主を通じて2カ月に1回支給申請する必要があります。

【産前休業から育児休業終了まで】
L.産前産後休業保険料免除制度・育児休業保険料免除制度(健康保険料・厚生年金保険料)

 産前産後休業期間、育児休業期間中の健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。将来、被保険者の年金額を計算する際は、休業取得直前の標準報酬月額をもとに保険料を納めたとして扱われます。

 手続きは、事業主が「産前産後休業取得者申出書」及び「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出して行います。

 上記以外には、父母・祖父母からの資金贈与に対し、一定金額まで非課税になる「結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税制度」や「教育資金の一括贈与時の非課税制度」なども施行されています。

 このようにさまざまな制度が設けられていますが、申請しないと受けられなかったり、申請時期が遅れると遅れた分がもらえない可能性もあります。また臨時で設けられるもの、時限的な制度もありますので、お住まいの市区町村の相談窓口などでご確認しておくといいでしょう。

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